昨今さまざまなかたちでの「スポンサーシップ」が展開されています。本稿では「スポンサーシップ」とはそもそもどんなものを指すのか?どのようなスポンサーシップのかたちがあるのか?などをまとめてみたいと思います。スポンサーシップとは何か:スポーツとビジネスの交差点スポーツにおける「スポンサーシップ」とは、企業目線であれば「スポーツチームやイベントに財務的なサポートを提供し、見返りとしてブランド認知度の向上やマーケティング効果を得るビジネス戦略」と表現できるかと思います。スポーツが持つ独自のポジティブなブランド力を生かし企業の発展を目指すものです。侍ジャパンやサッカーW杯などの盛り上がりにも見られるように、スポーツ市場はますます拡大しており、それに伴いスポンサーシップの形態も多様化していますスポンサーシップの種類と役割:チーム、企業、そして文化企業はチームやイベントへの露出を通じてブランドイメージを高めたり、製品やサービスのプロモーションを行うなど、利益向上のためにスポンサーシップの権益を用いるケースは頻繁に目にされるかと思います。]また、スポンサーシップを文化的な側面から、地域社会とのつながりを深めるなどの役割を担うこともあります。スポーツチームとタイアップしたスポーツイベントの開催など、コミュニティのハブとしてスポンサーシップを活用するなどがそれにあたるかと思います。フランチャイズを持つスポーツチームであればそのチームは地域の顔であり象徴であるといった大きな存在感を持つこともあり、スポンサーシップを使うことで企業のその地域へのコミットを社会に発信することになるのです。スポーツチームとブランドのシナジースポーツチームとのパートナーシップは、ブランドにとって長期的な関係を築くための重要な手段です。共有の価値や目標を持つことで、両者は長期的な利益を共有し、互いの成長を支えることが可能です。その手段として「アクティベーション」があり、ブランド価値向上のため、より効果的な戦略が重要です。イベントのスポンサーシップ、広告キャンペーン、コミュニティイベントなどが含まれ、ブランドのメッセージを効果的に伝え、消費者との関係を強化します。2023年9月に開催されたラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会では、アサヒビールがスポンサーとなり公式ビールとして独占販売権を初めて取得しました。19年日本開催でラグビーファンの桁外れの飲酒量を目の当たりにし、フランス国内での法改正などの後押しもあったため、アジア企業初の最高位スポンサーとなり今回の独占権取得に至りました。世界のラグビーファンに「アサヒビール」というブランドを見せつけられたことに加え、大会期間中の爆発的な売り上げにもつながる理想的なスポンサーシップとなりました文化的なつながり:スポーツと地域社会文化的な側面について深堀してみます。スポーツスポンサーシップは、単にビジネス目標を達成するだけでなく、文化的なつながりを作り出す重要な手段でもあります。地域社会や文化との繋がりを深めることにより、ブランドはより広い認知と好感度を獲得し、持続可能な関係を築くことが可能です。北海道日本ハムファイターズの新本拠地「エスコンフィールド」は不動産事業を展開する中部電力グループの東証1部上場企業の日本エスコンがネーミングライツを取得しました。日本エスコンは「これを機にスポーツや文化振興等にも協力し、北海道地域の皆様に喜ばれ、地域全体の活性化と発展に貢献してまいります。」と発表するなど、建設された北広島市をはじめ北海道全域へのコミットを象徴するものとしてスポンサーシップを活用しています。デジタル時代のスポンサーシップ:オンラインとオフラインの融合今後、デジタル時代のスポンサーシップは、オンラインとオフラインの活動を融合させることが重要です。デジタルメディアを活用したより幅広い観客へのリーチ、インタラクティブな体験を提供することができます。持続可能性や社会的責任を重視する傾向が強まる中、スポンサーシップもこれらの価値を反映するように進化しています。企業はスポーツを通じて、社会的な問題に対する取り組みを強化し、より大きな影響をもたらすことが求められています。おすすめ記事「チャイルド・スポンサーシップ」:子どもたちを救うスポンサーシップの力パリへの道: 2024オリンピックとパラリンピックにおける日本の新星【世界】2023年スポーツ界の革新的な進歩と記録的な瞬間