【この記事に登場する人】清水雄一(しみず・ゆういち)。株式会社DIFF.代表取締役社長。1988年三重県伊賀市生まれ。2012 年ミズノ入社、研究開発部に配属。サッカーシューズ等の開発担当からキャリアをスタートし、グローバル研究開発部、新規事業プログラムの企画運営を経て、2022年に株式会社DIFF.を創業。「いつも片方だけ靴ズレを起こしてしまう」そんな経験はないだろうか?株式会社DIFF.は片方ずつシューズを購入できるサービスを通して、だれもが自分に合ったサイズのシューズを履くことができる世界を目指している。サービス展開を通して世の中に新しい価値を提案したいとイベントやプロモーションも企画中だ。清水雄一代表取締役社長に話を伺った。-株式会社DIFF.の事業内容を教えてください。左右別サイズのシューズを購入いただけるサービスを提供しています。世の中には足のサイズが左右で5mm異なる人が20人に1人います。シューズは両足セットで購入するのが当たり前ですが、足のサイズが異なる人は内出血などに常に悩まされています。一部のトップアスリートはオーダーメイドのシューズが提供されますが、その他多くの方々は異なるサイズのシューズを購入するしか解決方法がなく、「そういうものだ」と諦めるしかないのが現状でした。-なぜこの事業を立ち上げたのでしょうか?学生時代、サッカーをしていて、いつも右足親指の内出血に悩まされていました。後からわかったことなのですが、左足より右足の方が小さく、靴の中で足が動いてしまいつま先がぶつかっていたことが原因でした。片方の足を痛めるという悩みは自分だけなのかなと思っていたのですが、意外と周囲から同じような声を聞き、足サイズの測定データを調べてみると、5%くらいの人が足のサイズが大きく異なるということがわかりました。自分の原体験と周囲へのインタビュー、データなどから大きな潜在需要があると感じ、この事業をスタートしました。-複数サイズのシューズの在庫を抱えることになり、在庫リスクが高そうに感じます。さまざまなシミュレーションを行った結果、1種類のシューズについて一定の足数購買行動が起これば、左右別でのサイズ販売は、両足同サイズでの販売と在庫リスクは大差ないとわかりました。サービス開始からこれまでの販売実績を分析してもそのシミュレーションに近い実績となっています。そのリスクを最小化するために全体流通量、ユーザーを増やすことが現在の課題です。-2022年創業からこれまで当初の想定に対して感触はどうですか?実際に喜んでくれる方がいる、需要があるというのは想定通りでした。1足目をご購入いただいた方は病後の後遺症で左足に装具をつけられてる方でした。装具の影響で左右で3cmも差が生じてしまい履ける靴の選択肢が狭まってしまった中で、「色んな靴が選べてうれしい」というお声をいただきました。今後の課題は流通量です。サービスの認知からサービス利用までの壁が意外と高かったというのは想定外でした。利用していただくためにコミュニケーション強化を図っており、「〇〇選手が使ってます」「パフォーマンス改善します」など効果的な追加情報を調べています。-積極的に行っている学校やスポーツ大会での足の計測会もコミュニケーションの一環ですか?はい、大事にしたいコミュニケーションの一つです。学校や学生スポーツ大会で足の計測だけでなく、靴の履き方もお伝えしています。意外と教えてもらったことがない方が多く、正しい方法で靴ひもを締めると感動されることが多いです。選手の方へは、正しい靴の履き方と足に合った靴を履く必要性を一緒に伝えることで、より納得していただけると考えています。加えて、購買の意思決定者である保護者の方へのアプローチも課題です。保護者の方にとって必要性を感じられるコンテンツ、情報を準備していきたいです。保護者の方が部活動に携わられている思い、どのような関わり方をされているかなどをインタビューを通じて調査している状況です。この記事を読んだ方にはぜひ当社サービスを見て感じたことなどを教えていただけるとうれしいです。-現在のメインターゲットは学生ですか?現在は中学生、高校生年代をメインターゲットにしています。シューズの買い替え頻度が高いためです。一般的に趣味でスポーツを楽しむ社会人の方は1,2年に一足買い替える程度ですが、学生で部活動に取り組まれている方はシューズの消耗が激しいため、より需要が高いと考えています。<取材・文>佐藤大輔(Spoship編集部)【関連リンク】株式会社DIFF. 公式HP株式会社DIFF.【公式】|片方ずつシューズを買えるサービス「DIFF.」 公式X