「アンブッシュマーケティング」という言葉をご存じでしょうか?いわゆる「便乗商法」のことで、特にスポーツ産業においては、スポーツチームのロゴを勝手に広告に使う、無許可で選手肖像を使ってキャンペーンを行うなどの行為を指し、東京オリンピック開催に伴い広く問題視されるようになりました。悪意なく権利を侵害してしまうケースもあるので、どのようなものが該当するのか、どう対応すればよいか、企業目線でご説明したいと思います。「アンブッシュマーケティング」って何?東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は下記のように説明しています。アンブッシュ・マーケティングとは、故意であるか否かを問わず、団体や個人が、権利者である IOC や IPC、組織委員会の許諾無しにオリンピック・パラリンピックに関する知的財産を使用したり、オリンピック・パラリンピックのイメージを流用することを指します。(引用:公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「大会ブランド保護基準」)アンブッシュマーケティングに個別に言及した法律は現在国内にはありませんが、こうしたロゴや肖像、キャッチコピーなどは商標法、著作権法などで守られており、権利者より指摘を受けると罰則の対象となってしまいます。大会を想起させる名称の利用だけでも制限されるケースがあるので、曖昧な表現でごまかすというのも賢明な手段ではありません。訴訟になった事例古くは1992年IOCがAmerican Express社を提訴しています。同社はフランスアルベールオリンピック期間中に「冬の大会を楽しむためにフランスアルプス地方に行くならアメリカンエクスプレスが良い」という内容の広告を出してしまったことによるものです。他にも、2014年カナダオリンピック委員会は、North Face社が販売した「Villlage wear」シリーズにおいて、類似エンブレムの利用や開催日付や開催場所を世界地図にあしらったものがあるなどとして、消費者に同社がソチオリンピックと公式に関係があると誤認させる行為であると提訴した事例などがあります。日本国内では大きな事例はまだありませんが、東京オリンピックを契機に注目が集まった手法ですので今後厳格化されていくとみられています。アンブッシュマーケティングを避けるために特定の大会やアスリートに関するロゴや肖像、キャッチコピーなどを活用したいと思った場合は、大会事務局やアスリート本人または所属団体へ問い合わせましょう。上述したように直接的な法律は存在せず、大会やアスリートがそれぞれ自ら利用可能範囲や媒体、金額等を設定していることが多いです。また、広告物への掲出や販売物への利用などの場合は、権利元への確認・校正が必要になります。公認されればロゴや肖像などの素材データも提供してもらえる可能性がありますが、反面インターネットやSNSから拾った画像を無許可で転用するのは基本NGです。「これはどうかな…?」と少しでも不安に思った場合は確認しましょう!まとめ本来、大会やアスリートにとって企業活動との連携は、新たな露出や関係性の構築につながるためとても有益なもので、ありがたいことです。企業にとっても大会やアスリートのイメージを用いて収益を上げたりブランドを高めたりすることができるので、Win-Winの関係と言えます。しかし、企業が自らの利益のためでなく、「大会を盛り上げたい!」「選手を応援したい!」という純粋な気持ちでそうしたロゴや肖像を用いた場合でも、アンブッシュマーケティングに該当し、法律や規則に違反してしまうという可能性もあります。正しい知識を入れた上、関係各所と連携を取り、ルールに則った気持ちの良いかたちで応援していきましょう!おすすめ記事「チャイルド・スポンサーシップ」:子どもたちを救うスポンサーシップの力「アクティベーション」の事例スポーツチーム営業担当として商品・サービスの訴求ポイント