スポーツチームの運営において広義の「営業」という仕事は極めて重要な位置を占めます。Jリーグ2023シーズンの収入1,417億の内50%を超える738億がスポンサー収入であるなど、営業活動による売り上げ比率はかなり高いです。(必ずしも「スポンサー収入=営業活動による収入」ではないと思いますが。)また、プレイヤーを除き、顧客と相対するという意味でセールスパーソンはそのチームの顔であり、そのチームを象徴する存在と言っても過言ではありません。本記事では、スポーツチームのセールスパーソンがどのようなポイントで顧客にメリットを訴求できるか、整理をしてみたいと思います。「スポンサーを検討しているがどう活用してよいかわからない」という企業の担当者の方にも参考にしていただけますと幸いです。主な顧客メリット(=利用方法)スポーツチームの商品・サービスはチケット、グッズ、肖像権、イベントなど多岐に渡ります。それらをどのように組み合わせ各企業(あるいはその担当者、決裁者)に刺さるようにプレゼンを行うかがセールスパーソンの腕の見せ所です。同商品・サービスの顧客メリット、すなわち企業としての利用方法は主に4つ種類があります。福利厚生:社内イベント、優秀社員への景品など広告宣伝:企業認知拡大、ブランディングなど営業活用:顧客との関係構築、接待など販売促進・キャンペーン:売上UPのための施策など企業は利益追求に限らず何らかの目的を持っています。上記4つのいずれかにつながるのであれば、商品がどんなジャンルであれ利用することを検討できるはずです。それでは、それぞれ具体的にどのような使われ方をするか見ていきましょう。1. 福利厚生社員の福利厚生として、試合観戦チケット、グッズなどを利用するパターンです。優秀スタッフへの褒賞品として使われることもあります。フランチャイズを持つスポーツチームは多いと思います。程度の差こそあれ、地元のチームを応援したいという方は多く、チケットやグッズをもらって良い気分になる方は少なくないと思います。団体で入れる部屋を新入社員歓迎会や忘年会、創業記念パーティーの会場として利用することで特別感を演出することができます。スポーツの試合を肴に食べ飲みしつつ、試合展開に一喜一憂しながらの会話は、日ごろの会社や居酒屋での飲み会と異なる体験を得ることができます。2. 広告宣伝企業の認知向上、ブランディングなどを目的として、球場・スタジアム内に看板を出すといったものです。球場・スタジアムへの来場者だけでなく、マスメディア、SNS等での露出も期待することができます。広告掲載の様子を採用資料に掲載するなどすることで学生・求職者の方がより企業を信用してくれるようになるなど、採用面での訴求も可能です。自社製品を来場者へサンプリングする、などの直接的な宣伝活動にも利用できるでしょう。またCSR活動も広い意味ではこちらに入るかと思います。観戦チケットを障がい者支援施設にプレゼントするといったものや、現役・OB選手を稼働した子供向けのスポーツ体験イベントを主催するなどの方法があります。スポーツチームのクリーンなイメージを利用して地域貢献、社会貢献活動を行うことで企業のイメージUPにつながります。3. 営業活用お得意先との関係構築、新規顧客開拓のツールとしてスポーツを活用する手もあります。VIPルームを利用して一緒にひいきのチームを一緒に応援することで連帯感、結束感を醸成することができます。スポーツが大好きなお客さんだけでなく、それ程好きでない方でも、イベントとセットの非日常空間へ招待されて嫌な感情を持つ方は少ないのではと思います。試合時間も計算ができるので終わりの見えないn次回が催される心配も少ないです。(勝てば祝勝会、負ければ反省会と称して一緒に街に繰り出すのも一興ですが。)VIPルーム利用の際特別なお客様であれば、部屋にOB選手を招待して交流してもらったり、招待客の名前をあしらったユニフォームなどを準備するとなお喜んでもらえるでしょう。そのスポーツが大好きなお客様であれば、始球式やキックインセレモニーの権益を利用し、お客様にグラウンドに降りてイベントに参加してもらうというのも特別感があって喜んでいただけるでしょう。4. 販売促進販売促進、キャンペーンとして肖像権などを利用する方法です。小売店などtoC業態での活用が想定されます。スーパーマーケットなどで時々開催されている「〇〇優勝セール」などがわかりやすいものです。チームのロゴや選手の肖像などをアイキャッチとしてセールを行うことで売上UPが期待されます。安売りだけでなくその期間に開催される抽選会での景品を選手のサイングッズや握手会イベント参加権などの非売品サービスにすることで限定感も高められるでしょう。キャンペーン期間中その会場で選手トークショーなどを実施すればより具体的な集客につながります。toB業態であっても、オンライン上で「資料請求で〇〇グッズプレゼント」などのキャンペーンを打つことでフランチャイズエリアなどターゲットを絞った施策とすることができます。おわりにスポーツチームには様々なリソースがあります。それを柔軟に活用すれば顧客の何らかのペインに寄り添うサービスが提供できるはずです。チームの営業担当であれば、顧客とチーム・選手や運営現場との板挟みになり苦労するという場面に必ず遭遇すると思います。しかし、苦労の末提供したそのサービスは、他に類似の少ない特別な価値を持つものです。お客様の喜ぶ顔と営業として得られる成果を思い描き、頭ひねりながら粘り強くがんばっていきましょう!おすすめ記事「チャイルド・スポンサーシップ」:子どもたちを救うスポンサーシップの力「アクティベーション」の事例スポンサーシップのチャリティー利用 -ソニーオープン・イン・ハワイの事例から-