スポーツチームにおいてスポンサーシップの獲得は、資金調達の手段としてだけでなく、チームブランドの向上やファンベースの拡大にも大きく寄与します。企業とスポーツチームの間のパートナーシップは、双方にとっての価値を生み出し、企業には独自のマーケティングチャンスを、チームには必要な資金とサポートを提供します。すなわち、スポンサー営業の目標は、チームのビジョンと目標を達成するための資金を確保することはもちろん、良好なスポンサーシップ関係を築くことで、ブランド価値の向上やファンとのより深い関係を構築することにもあるのです。今回は、スポーツチームのスポンサー営業担当としてどのような流れで営業活動を行っていくのが良いか、その一例をご紹介させていただきます。① スポンサー対象の特定とセグメンテーション理想的なスポンサーと出会うためには適切なセグメンテーションが必要です。まずは自らのスポーツチームの特徴(男女、競技内容、来場者層、SNS視聴者層、スローガン等メッセージ)を整理します。それぞれの企業が抱えるニーズや目標に合わせて、上記特徴の内ストーリーとして適切な要素を抽出し、チームの露出度、ファンとのエンゲージメント機会、コラボレーション商品の開発などを提案します。例)特徴:男子バスケットボールチームA/来場者層30代/SNS視聴者層20代/スローガン「〇〇(エリア名)PRIDE」提案先自動車販売店B社理由若手の世代へ自動車への接点を持ってもらう。「〇〇PRIDE」と地元愛をうたうAを応援するB社と深く印象付け、「〇〇で車を買うならB社だよね」というイメージを訴求する。提案内容「B社の〇〇PRIDE祭り」というキャンペーン開催試合会場でのチラシ配り、のぼり設置、新車展示など現場でのプロモーションに加え、キャンペーン期間中のB社への来店A×B社オリジナルグッズ、サイングッズをプレゼントすることで実際の誘客につなげる。② 提案書の作成とピッチング提案書には、自チーム紹介、明確な価値提案、具体的なスポンサーシップパッケージ、成功事例があればよいでしょう。費用対効果は出すことができればベストですが、コミットを約束された場合のリスクが高いので注釈を明記するか、踏み込まない方が良いかと思います。提案時は、企業の目標とチームの提供できる価値のマッチングを強調し、パーソナライズされたアプローチを取ります。特に重要な企業であれば、チームグッズや選手サイングッズなどを手土産として持参、可能であれば選手本人の同席などできれば、相手に熱量を伝えられ強い共感が得られるかもしれません。提案から契約締結までは通常の法人営業と変わらないと思いますので、そのあたりのノウハウはより営業として経験とスキルをお持ちの方にお任せしたいと思います。③ スポンサーシップの実行と評価契約後は、効果的なアクティベーション戦略を実行し、スポンサーと密接に連携します。成功指標には、ブランド露出の程度、ファンとのエンゲージメント数、メディアでの言及、そして最終的なROIが含まれます。事前に指標の項目と目標を企業側とすり合わせられていればベストでしょう。定量的な評価方法には、一部企業側の協力も必要ですがマスメディア露出実績、ソーシャルメディア分析、アンケート調査、来店データ、売上データなどがあります。スポーツチームの価値は数値化しづらいな「熱狂」にあると思います。当日の映像や写真、観客の声など定性的な情報の集積でも十分価値のある報告ができると思うので、リソースの許す範囲で誠意を持った報告書作成を試みましょう。担当者や企業の体質によって喜ばれる報告の仕方も異なると思うので可能な限り事前にどのような内容が求められるかヒアリングしておくと良いかもしれません。これらのデータ・報告を基に、フィードバックを得ることで改善点を特定し、次回以降に向けより効果的なスポンサーシップ機会の創出につなげます。スポンサーとの関係を深め、持続可能なパートナーシップを築いていきましょう。おわりに先の記事でお伝えしたように営業はある意味でそのスポーツチームの「顔」です。スポーツチームのサービスは感情巻き込む特殊性を持つので、反面、不義理をしてしまうなどして不信感を買ってしまうと取り返すのがとても難しいです。自分のチームの価値を信じ、誠心誠意Win-Winな関係を築けるよう頑張っていきましょう!おすすめ記事「チャイルド・スポンサーシップ」:子どもたちを救うスポンサーシップの力スポンサーシップのチャリティー利用 -ソニーオープン・イン・ハワイの事例から-スポーツマーケティング その特徴について