スポーツは観る人を昂らせ、共感と興奮を生み出すとても大きな力を持っています。この情熱をビジネスの世界に応用することで、ブランドと消費者の間に深い絆を創り出し、感動を共有する独特の関係を創出するのが「スポーツマーケティング」です。スポーツマーケティングとは?スポーツマーケティングは立場に応じて2つの意味を持つことがあります。①スポーツチーム/アスリートが自分の試合への集客等のために行う行為②企業などがスポーツチーム/アスリートのブランドを活用して自社の経済利益につなげる行為今回の記事では上記のうち②企業等がスポーツチーム/アスリートを活用する目線から内容をまとめてみたいと思います。スポーツマーケティングの特徴一般にスポーツにはクリーン、熱狂、友情、勝利などのようなイメージがあります。(少し大手マンガ雑誌のようになってしまいました…)企業はそれらのイメージを自社のブランディングに活用し、認知向上、売上UPなどに繋げていくのです。マーケティングのツール、媒体として活用するうえで以下のような特徴がある点理解が必要です。①熱狂想いの強いファンはスポーツチーム、アスリートをある種自己同一的に応援します。彼らが勝てば嬉しい、負ければ悔しい。試合結果、内容は極めて自分事なのです。スポンサー企業にも、スポーツチーム、アスリートを応援する同じ船に乗った仲間としてポジティブな印象を持ちます。②世代、性別、国境を超えた影響力ワールドカップ、オリンピックなど国際大会があるスポーツでは顕著ですが、スポーツの普遍的な価値はあらゆる障壁を軽々と越えていきます。大谷翔平選手の活躍でNewBalanceはスポーツブランドとしての地位を確立し、BOSSはスタイリッシュで洗練されたブランドイメージを世界中で獲得しました。③ライブ感、不確実性①と表裏一体ですが、スポーツには勝敗がつきもので、声援などの間接的な支援を除き、ファンや視聴者の影響が及ぶところではない不確実性を持っています。これはコントロール不能な結果がファンや視聴者の満足度を左右するという危険性も孕んでいます。マーケティング担当者はこの危険性も念頭にコミュニケーション戦略を練る必要があります。スポーツマーケティングへのビジネスサイドによるコミットスポーツマーケティングに大きな可能性を見出し、昨今では多くの企業がそのサポートを行っています。大手コンサルティング会社「デロイト トーマツ グループ」はFC今治を深くサポートしています。2015年から5年間、デロイト トーマツ コンサルティングとして、またFC今治がJ3に昇格した2020シーズンからはグループ全体で、「パートナー=ソーシャルインパクトパートナー」としてサポート。スポーツビジネスやスポーツアナリティクス、地方創生やSDGs推進支援など、人材やノウハウの提供を通じて支援を行っています。メルカリは2019年に鹿島アントラーズFCの発行済み株式のうち61.6%を買い取り経営権を取得しました。メルカリは当初3つの経営参画の理由を挙げています。 ①顧客層の拡大 ②ブランドの向上 ③ビジネス機会の創出①②はメルカリのビジネスチャンス拡大のため、③はメルカリの経営ノウハウを生かしアントラーズとのシナジー効果を求めるものです。スポーツマーケティングの未来デジタルコンテンツを活用したマーケティングは、すごいスピードで市場に浸透しています。YoutubeやX、tiktokなど各種SNSを利用したライブストリーミングやクローズドイベントのオンライン配信、専用アプリ内での限定動画といったコンテンツ、NFTなどその可能性は広がるばかりです。他方で、デジタルマーケティングではPV、CVRなどのデータを追えるため効果測定が行えるためビジネスとしてシビアな見方をされる場面も見られるようになると思います。スポーツチーム/アスリートの当事者が自分自身の市場における価値を客観的に理解した上で、スポンサー企業とWin-Winな関係を築けるような提案をし契約を結んでいく努力が必要でしょう。おすすめ記事「チャイルド・スポンサーシップ」:子どもたちを救うスポンサーシップの力スポーツチームにおけるtoB商品・サービススポンサーシップのチャリティー利用 -ソニーオープン・イン・ハワイの事例から-